風の追憶
南風に吹かれて燃え上がった情熱の火が、消える日は来るのだろうか……。 ロマンスの名手アン・メイジャーが描く、あまりに激しい愛の嵐。
誰かに狙われている……。毎日のように鳴り響く怪電話に怯えたトップモデル のアンドレアは、ちょうど舞い込んだ撮影の仕事を受け、ロケ先のメキシコへ 飛んだ。めったに会えない恋人ドンの別荘を訪ねるのにも好都合だった。だが 撮影を終えたとき、見知らぬ男がアンドレアに声をかけてきた――撮影中も彼 女のことをオニキスのような黒い瞳でじっと見つめていた男だ。なれなれしい 態度に反感を抱きつつ、彼の強烈な存在感に圧倒されていたアンドレアは、や がて男が発した言葉に耳を疑った。「今夜、きみがドンと会うのを止めに来た」