奪われた女伯爵
島に暮らす麗しき令嬢と湖から現れた氏族の青年——その出会いは、あまりにも悲しい愛の始まりだった。
著者:エレイン・コフマン /
訳者:後藤美香
訳者:後藤美香
スコットランド北部の湖に浮かぶ美しい島で、令嬢クレアは愛する家族に囲まれ、幸せに暮らしていた。ある春の日、一艘の舟が島に近づいてきた。船上の男たちは由緒ある有力氏族、グレアム・クランの者らしい。クレアの視線は、後方に座る男の、遠目にもハンサムな顔に引きつけられた。漆黒の髪に陽光が当たり、火のようにぱっと輝く。信じ難いほど魅力的なその男——フレイザー・グレアムとクレアは瞬時に激しい恋に落ちた。だが、そのときの彼女には知るよしもなかった。この恋が、やがて襲い来る大きな悲劇の序章となることを。