愛の陰影
冷酷と恐れられる公爵はある思惑から美しい少年を助けて小姓にするが、実は少女だと気付き…。ロマンスの祖が、少女の一途な愛を描いた伝説の名作。
18世紀パリ社交界。冷酷と名高いエイヴォン公爵がある日ともなってきた美しい側仕えの少年に、人々は目を奪われた。少年の名はレオン。彼はパリの裏町で兄の暴力から救ってくれた公爵を神のように崇め、全身全霊で忠誠を捧げていた。そのレオンには秘密があった。わけあって少年のふりをしているが、本当はレオニーという名の少女なのだ。だが、その時のレオニーは知る由もなかった。最愛の公爵が、彼女の性別どころか本人も知らない出生の秘密まで知っていることを。そして、彼女を復讐の道具に仕立て上げようとしていることを。
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著者紹介ジョージェット・ヘイヤー著者プロフィール
1902年英国生まれ。74年に死去するまでに約60作の著作を発表。綿密な時代考証に基づき、リージェンシーをはじめ英国の歴史を舞台にした恋愛小説を多数著した。ロマンス小説家のほとんどが彼女の作品を愛読し、強い影響を受けたと語り、現代のヒストリカル・ロマンスの原型となった。機知に富んだ会話、個性豊かな人物造形は出色で、今でも世界中のファンの熱は冷めることがない。