砂漠に消えた人魚
古代エジプト遺跡の発掘調査に乗り出した英国貴族たち。彼らが迷いこんだのは、呪いよりも危険な愛の迷宮だった。
19世紀末のロンドン。ある朝突然、サー・ハンターの屋敷に画家の娘キャットが駆けこんできた。切望していた遺跡発掘旅行への参加を後援者のエイヴリー卿に禁じられてしまったのだが、どうしても諦められないのだという。彼女の姿を眺めながら、サー・ハンターは理解した。女神のように美しい容貌、炎のような赤い髪。この娘の魅力の前では、学生たちが遺跡調査に集中するのは難しいだろう。エイヴリー卿の意向は絶対なのだと説明する彼に対し、キャットは驚くべき提案をした。「ひとつ方法があるわ。あなたが私と婚約するの」