灰かぶりの令嬢
19世紀英国の港町、清貧のシンデレラに訪れた奇跡──家族のパンを買うために令嬢は美しく長い髪を切り、銀貨に換えた。
英国の小さな港町の片隅で、エレノアはひもじさに耐えていた。子爵の非嫡出子であるばかりに世間から見放され、宿屋を営む祖母と暮らしているが、この半年はひとりの客さえ来ない。ついには長い髪を切って売り払ったとき、港に停泊した船の艦長オリヴァーが宿泊に訪れる。到着するなり体調を崩したオリヴァーをエレノアは懸命に看病した。オリヴァーは厳めしいが、彼女たちの窮状を察すると温かい食事を与え、心地よく暮らせるように取り計らってくれる。エレノアは淡い思いを募らせるが、人並みの幸せなど望めるはずもなくて……。
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著者紹介カーラ・ケリー著者プロフィール
大学でラテン・アメリカの歴史を学ぶ。歴史的な興味から、西部開拓時代を舞台にした短編を執筆したのち、英国摂政期のロマンスを手がける。執筆活動の傍ら、今も歴史の研究を続けている。RITA賞を2回受賞するなど、権威ある賞の受賞歴も多数。さまざまな階級の人々の暮らしを温かな目線で描き、圧倒的な支持を得ている。大学教授を引退した夫とともにアメリカのユタ州に暮らす。