灰かぶりの令嬢
19世紀英国の港町、清貧のシンデレラに訪れた奇跡──家族のパンを買うために令嬢は美しく長い髪を切り、銀貨に換えた。
著者:カーラ・ケリー /
訳者:佐野晶
訳者:佐野晶
英国の小さな港町の片隅で、エレノアはひもじさに耐えていた。子爵の非嫡出子であるばかりに世間から見放され、宿屋を営む祖母と暮らしているが、この半年はひとりの客さえ来ない。ついには長い髪を切って売り払ったとき、港に停泊した船の艦長オリヴァーが宿泊に訪れる。到着するなり体調を崩したオリヴァーをエレノアは懸命に看病した。オリヴァーは厳めしいが、彼女たちの窮状を察すると温かい食事を与え、心地よく暮らせるように取り計らってくれる。エレノアは淡い思いを募らせるが、人並みの幸せなど望めるはずもなくて……。