狼たちの休息 ⅩⅩⅤ
地味で知的な植物学者と粗野なボディガード。関わるはずのない二人が出会ったとき……。
やはり来るのが遅かった。グウェンはホテルのロビーで立ち尽くした。アラバマからメキシコの港町まで、はるばる来たのに父はもういない。長年の夢だった不老長寿の秘薬を求めて、カリブの島へ船出したのか。父の行方を知ろうと、グウェンは町のレストランやバーを捜し歩いた。「どうやら、ぼくたちは同じ対象を追っているらしい」バーで客にからまれていたグウェンを助けてくれた男は、彼女の話を聞くうち、そう告げた。男の名はウィル・ピアース。失踪した大富豪の娘を追うボディガードだという。彼はその娘がグウェンの父の助手と一緒にいたことを知っていた。グウェンは偶然の巡り合わせに感謝した。彼と捜せばきっと父に会える。父たちが乗る船を追って、彼女はウィルとともに海へ乗り出した。
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著者紹介ビバリー・バートン著者プロフィール
幼いころ、祖父から贈られた『美女と野獣』の絵本を読んでロマンス小説のとりことなり、九歳のときに初めて物語を書いた。それ以来、小説、詩、脚本と、学生時代を通じて創作活動に親しむ。結婚し、二人の子供を産んでから専業主婦となっていたが、執筆活動に復帰してからはアメリカ・ロマンス作家協会に加入し、大いなる貢献をする。1990年のデビュー以来、五十作以上の作品を発表し、マギー賞や全米読者選賞など数々の賞を受賞。とりわけ百戦錬磨のボディガードを主人公にした出世作『狼たちの休息』シリーズは新作が出るたびに各メディアから賛辞を受ける人気連作。ウォールデンブックスやUSAトゥデイ紙のベストセラー・リストの常連で、世界的ベストセラー作家リンダ・ハワードも彼女の実力を認め、絶賛を惜しまない。