聖女と堕天使
狼たちの休息 Ⅵ
狼たちの休息 Ⅵ
ずっと忘れられずにいた男性(ひと)――カリン。でも、再会はさらなる殺人への序章だった。
内戦が続く島に残された幼い甥の救出に同行してほしい。警備会社ダンディー・エージェンシーに依頼したローリーは派遣されてきたボディガード、ホークの容姿に目をみはった。なめらかな肌に鋭い瞳。漆黒の髪にたくましい肉体。気品と官能を漂わせる風貌はさながら森の王者ジャガーのようだ。だが男性になじみのないローリーのとまどいを知ってか知らずか、ホークは強硬に言いつのった。若い女性を危険な戦地に連れていく気はないこと。それでも同行するなら、彼の望むものはすべて与えること。彼の望むもの……まさか!なんて失礼な人なの!気がつくと、ローリーは彼に平手打ちを浴びせていた。