騎士と女盗賊
サイモン・ディ・バラは死ぬほど退屈していた。兄の領地バダーズリーに向かう森の道も平穏そのもの。ならず者でも現れてくれれば、気も紛れるのに――と思ったとたん、願いどおり、盗賊たちが少人数のサイモン一行に襲いかかった。しかし、すべてが願いどおりには運ばなかった。全員が捕らえられ、サイモンは縄でぐるぐる巻きにされた。それだけでも屈辱だというのに、盗賊の頭目はなんと女!男の格好をしているが、胸のふくらみ、腰の揺れ、そしてあの髪――何もかもがサイモンの欲望を、心を刺激する。思いがけない感情の芽生えに戸惑いながらも、彼は心に誓った。絶対に報復してやる。ビーシアとかいうあの女に男の強さを思い知らせてやるぞ!