テイラー・スミス
Taylor Smith

1度読み出したら止まらない、手に汗にぎるサスペンスで多くのファンを釘付けにしているテイラー。その作品のリアリティには定評があるが、それもそのはずカナダの外交官、情報分析官として12年のキャリアを持ち、そこでの豊富な経験と幅広い情報源は、彼女のストーリーテリングと相まって物語をいっそう奥深いものにしている。  カナダ生まれのテイラーは、カナダとフランスで国際情勢を学び修士号を取得。カナダの情報局員を務めたあと外交官として3年間東アフリカに駐在。本部に戻ってからは東欧担当となり、当時のソビエト連邦や関連諸国の監視役である情報部員として活躍。人権問題の特派として国連使節を務め、カナダ枢密院の情報分析官としてアメリカ政府各省やCIA、FBI、イギリスの諜報部であるMI6との連絡役となるなどその経歴は華々しい。1991年、ふたりの娘とすごす時間を持つため枢密院をしばらく休職し、そのあいだの頭の体操にとフィクションを書き始めたのが第2の人生のきっかけとなった。幼いころは、小説家になりたいという姉の二番煎じには絶対にならない、と思っていたテイラーだったが、このとき創作の面白さに目覚めたという。そして95年には輝かしい外交官としてのキャリアを打ち切り創作活動に集中、処女作『沈黙の罪』を発表した。テイラーの創作は、おもにニュースのヘッドラインから物語のアイデアを得、登場人物と彼らが置かれた窮状を決定するところから始まる。そしてそれが解決されるあっと言わせるような結末を考えたあと、綿密な調査、解決までのプロット作りに入るそうだ。彼女だからこそできる特殊なリサーチは、警察との同行取材から法廷関係の調査、スワットチームの訓練見学、ジャーナリスト、FBIエージェントへの直接取材、モルグでの検屍解剖見学にまで及んでいる。今後の作品に関しては、普通の人が普通ではない情況に陥ったときの反応や善人の弱点、悪人の好ましい一面など、人間の二面性を描いてみたいと話す。