エミリー・リチャーズ
Emilie Richards
エミリー・リチャーズが修士課程まで学んだ家庭発達学(Family Development)は、家族のそれぞれがお互いに及ぼす影響や、または家庭外の要因が家族関係にもたらす影響などを研究する学問。卒業後に家庭、結婚生活のカウンセラーとして経験を積んだ彼女は、そのプロフェッショナルな目から描く、“peoples' soul(人々の心、魂)”をテーマにしたリレーションシップ小説の名手である。これまでに50作以上の作品を執筆し受賞歴もあるエミリーの作品は、主に自分自身の経験から舞台やテーマが設定されることが多い。現在はバージニア州北部のアーリントンに暮らしているが、過去にフロリダ、カリフォルニア、アーカンサス、オハイオ、ペンシルバニア、ルイジアナ、さらに海外ではオーストラリアと数々の土地で生活し、その多くが作品の舞台となってきた。特に日常生活に密着したカラフルな文化を持つルイジアナ州ニューオーリンズはエミリーが創作の世界に初めて飛び込んだときに住んでいた場所で、お気に入りの町だという。『アイアン・レース』でも、ニューオーリンズに根付く家族の心の葛藤を見事に描いている。 エミリーの感情豊かで情熱的な作品のスタイルは彼女のパーソナリティーそのものとも言える。「昔から言うように、人は誰もひとりきりではないのよ」と話す彼女は、その昔、公民権運動や反ベトナム運動に全力を尽くし、今や献身的な妻であり母である。30年以上連れ添った夫とのあいだには3人の息子をもうけ、さらにインドから女の子を養子に迎えた。「カップルでも親子でも、形がどうであれ、家族の全ての行動や言葉はお互いの心を揺さぶるもの」という彼女の思いは、物語という形で世界中の読者の心に届いている。