大富豪と家政婦のシンデレラ系統の物語です。家政婦のマーシーは、ちょっぴり勝気な面も見せますが、堅実で真面目なところに好感が持てました。ヒーローであるアンドレアが、蝶になる前のマーシーにも惹かれているのに、それを認めようとせず、自分の感情を持て余しながらも、彼女を無意識に求めている感じがキュンときました。読後感が甘く優しい珠玉の作品だと思います。

マーシーが、ダボダボの服から自分の体に合った服を着るようになった後のアンドレアの反応が、今までどこを見ていたのかとクスクス笑ってしまいました。言葉に出せないマーシーの気持ちにもどかしさを感じながら、最後までハラハラして一気に読み切りました。

帯に「大人気ラテンヒーロー」と書いてあり、ラテン系ヒーローのお話を読むのは初めてです。威圧的で、仕事柄人を思い通りに動かすことに慣れているヒーロー。だけど、普段の彼は可愛くて茶目っ気たっぷりに女心を振り回します。くるくると視点の変わる文章もテンポがよく、堅物のヒロインといっしょにドキドキできました。さえないヒロインが、メイクや衣装で美女に変身するシーンは、女の子の夢ですね♪

読む前に題名から想像して、平凡な女性が素敵な女性へと変身するという内容だろうなと、思っていました。でも、読み進んでいくうちに、お互いに惹かれているのに、自分の心に気付かないもどかしさ、気付いてもそれ以上に想ってはいけない切なさが、心にジワッときました。外見だけの変身ではなく、人を愛することで、こんなにも深い葛藤が生まれることに、共感しながら読み終えました。何度も読み返して、何度もキュンとしたくなる作品です。

アンドレアがだんだんとマーシーに惹かれていく様はとても面白く読み進めることができました。お互いに一言付け足していればすんなり相思相愛になるのに、とじれったくなるところもあり、一気に最後まで読めました。