ハーレクイン文庫
ライラックの天使
19世紀イギリス、伝説の残る古い屋敷。謎めいた女主人からの花香る手紙に導かれ、放蕩子爵はそこへ赴いた。読む人の心に甘い香りを残す、大人気作家の初邦訳作!
モアランド子爵は“幽霊”に飽き飽きしていた。有名な幽霊屋敷のトリックを見破ったせいで、幽霊退治の依頼が次から次へと舞い込んでくるのだ。今日もまた一通の手紙が届き、捨てようとして、ふと思いとどまった。便箋から漂う甘い香りに、なぜか心がときめく……。思いきってデヴォン州の古い屋敷へ向かうと、依頼人は意外なことに、冷たい態度で彼を出迎えた。うら若い女性だというのに、地味な服装で厳しい表情を浮かべている。そしてほのかな香りをまとっている――どこか懐かしいライラックの香りを。稀代の人気作家が19世紀を舞台に咲かせる、匂いたつ恋の花!
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- 頁数
- 448頁 / 文庫判
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- 発行日
- 2009年03月01日
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- 著者
- デボラ・シモンズ
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- 訳者
- 平江まゆみ
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- 定価
- 880円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- ISBN
- 978-4-596-93212-9
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- 書籍番号
- HQB-212
読者レビュー
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とても優しさにあふれた癒されるロマンスで、ラストシーンがとても印象的な作品です。
ちょっと観察眼がすぐれていただけなのに、幽霊退治の専門家とされた子爵が、依頼を受けて訪れたのは古い屋敷。その所有者であるヒロインに惹かれる気持ちに戸惑いながら、彼女を脅かす幽霊退治をする羽目になった彼の、心の内がなかなか面白く、ちょっとした謎解きの部分も楽しめます。
ラストのライラックの庭での再会と回想シーンは、ほのぼのとして感動的。子爵のお祖父様の手腕に、拍手したい気持ちになりました。
日本では『狼を愛した姫君』でデビュー以来、ヒストリカルの分野でナンバーワンの人気を誇る作家。壮絶な戦いのシーンもある中世の物語と、社交界が華やかなイギリス摂政時代の物語を描き分ける。「どの作品も個性の際立ったものに仕上がるよう心がけている」と語る。米国オハイオ州在住。