題名のとおり一夜をともにした結果の妊娠から始まる物語ですが、根底にはヒロイン(ミア)とヒーロー(ニコロス)のお互いに対する気持ちが描かれていて、素敵なロマンスとなっています。

2005年に発表されたお話しなのだけれど。いかにもヘレン・ビアンチンらしいお話。題名が物語の様子をしっかりと表しています。ヒロインのミアとヒーローのニコロス。ミアの人柄の良さ。姉との仲の良さ。頭の良さ。両親はいないけれど、育ちの良さ。頑なさくなさが唯一の欠点のようなミアです。ニコロスは、完璧な仕事のできる富豪。ロマンスの王道なストーリー展開。ライバルも出現する主人公たちの世界。オーストラリアが舞台で、上流階級を匂わす世界。秋の夜長に、現実離れしたお姫様物語なハーレクインを読みたいなら、この本は、ピカイチ。自分に自信のあるヒーローの言動に、思わず、ミアって幸せ者～と思えるのでした。個人的に、好きなロマンスの展開でした。

現実を忘れてしまうような物語の進み方に、没頭してしまいました。題名だけならいかにも遊んでいます的に思えますが、これは是非女性に参考にしてもらいたい、幸せをつかむヒントのようなものが隠されていると思います。ここに登場するヒーローのような、とてつもなくいい男に出会ってみたいけど、現実には無理でしょう。この本を読んだ方が主人公ミアの立場ならどうするか、自分をあてはめて読むと違った面白さがあると思います。

ミアは薬学部の学生。結婚観には自分なりに厳格なラインを引いていた。しかし、あるパーテイで出会った男性と衝撃的な一夜を明かし結果は妊娠…。ドラマチックなストーリー展開に思わず引き込まれ一気に読んでしまった。ヘレン・ビアンチンが描くロマンスはいつも読者の心をつかみ感動させる。私の一番好きな作家さんで、出版されるのが待ちどおしくこの本も楽しく読みました。

タイトルから想像したものは、読み始めて、すぐに、間違いだって思いました。読み進めていくうちに、女性の気持ちと、男性の気持ちの両方を考えてしまい、とても複雑になりました。しかし、今の世の中には、登場人物に似た考えの人もいるのでは・・・と、考えました。
小説の中の人物と、現実の人たちをいつもきりはなすことがないなら、小説の中から、人間関係のヒントを得ることもできるのでは・・と、思います。心の変化が読み取れるところでは、本当に、ドキドキしてしまいます。魅力的な1冊です。　

さすがにベスト作品賞に選ばれたヒーロー。自立をめざすミアが、ヒーローから距離をおこうとすればするほど追いかけてくるニコロスのちょっと強引なところが魅力的。「奔放な一夜」の代償としての思いがけない妊娠を1つの軸に、心ならずもより絆を深めていくことになる2人。こんなにもニコロスに思われるミアの幸せ感を一緒に楽しんでみませんか。