ハーレクイン文庫
ドミニの美貌に目をつけた、社長ポール・ステファノスが秘密裏に、ある取り引きを持ちかけてきた。 ぼくと結婚すれば、きみの従兄が横領した証である小切手を燃やし、すべてをなかったことにしよう。 代わりに純潔を差しだすように、とギリシア人は囁いたのだ。 両親を亡くしたドミニを、伯父は娘のように愛してくれた。 その息子の罪を自分が贖わなければ、優しい伯父が窮地に陥る。 「ぼくがきみを買うんだ」熱を孕む瞳で男に見つめられて、 ドミニはただ身をふるわせ、頷くことしかできなかった。
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- 頁数
- 224頁 / 文庫判
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- 発行日
- 2017年11月01日
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- 訳者
- 山下さおり
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- 定価
- 682円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- 発送予定日
- 2017年10月20日(予定)
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- ISBN
- 978-4-596-93838-1
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- 書籍番号
- HQB-838 (初版CP-1)
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モニター
この作品は直接的な描写こそなくとも官能的な気分にさせられる文章が多くてうっとりします。お話の舞台はイギリスからギリシアに移る形で進行していきますが、どちらの背景もきちんとその土地の空気が感じられて素晴らしいし、情景描写が美しく、また何気ない会話の表現にも思わず考えさせられたりで、たまにページを進めるのがもったいなく思えるぐらいでした。そのなかで一番の読みどころは愛に気づいた後のヒロインの変化です。
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モニター
年の差カップル、ミステリアスヒーロー、少女っぽいヒロインが得意な作者の本領発揮です。年齢差や育った環境の違いでうまくコミュニケーションが成立せず、それでもなんとか心を通わそうとする二人の姿が描かれています。50年近く前に描かれた作品で、スマートフォンなどの便利なツールが一切なく、町の風景や人々の感情を生身で感じて生きていた時代がエキゾチックに感じられます。
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やみ
ロマンチックなストーリーに引き込まれました。ときめきと切なさがあって良かったです。
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モニター
強引な始まり方ゆえに、なかなか心を通いあわせることができない2人の距離が少しずつ縮まったり離れたりする様子が、美しいギリシアの風景や生活の描写と共に描かれていて、丁寧にじっくりと味わいたくなるような小説でした。
ロマンスの草創期に活躍した英国人作家。第二次大戦中、14歳の頃から労働を強いられ、苦しい生活の中から“現実が厳しければ厳しいほど人は美しい夢を見る”という確信を得て、ロマンス小説を書き始める。32歳で作家デビューを果たし、30余年の作家人生で約70作を上梓。生涯独身を通し、1989年に永眠するも、ロマンスの王道を貫く作風が今もファンに支持されている。