一途に一人の男性を思い続けるヒロイン。心に闇を持つヒーロー。二人が再会し、ヒーローの心の傷が癒え始めたのに、心ない人の言葉で亀裂が生じるなんて。ヒロインの葛藤、ヒーローの無償の愛が描かれた作品です。

初めて読んだ作家さんです。シリーズものですが、この一冊だけでも読み応えがあります。最初は、彼女が思い切った行動に出るのが意外だったので驚きました。彼の思いが伝わらなくて、泣いてしまいました。

冷たい男性がヒロインと付き合い出した途端、情熱的な恋人に変わります。ヒロインの心が遠ざかった時には、絶望し、懇願するヒーローが可哀想です。応援したくなります。

主人公のレイラ・アール・シャラーン。ゾハイド王国の王女として生まれてきた純真無垢な彼女はとても気高く勇敢で、とびきりの美しさも併せ持つ女性。その彼女が幼い時から憧れている男性との恋の行方はいかに?　そして一国の王女である彼女にせまる危機、陰謀の主導者はいったい誰なのか??　最後までドキドキしながら読む事ができました!!

幼い頃から夢中だったラシッドと再会し、結ばれたレイラ。過去にレイラの親族から受けた仕打ちにより、誤解が誤解を呼んで気持ちがすれ違ってしまう。お互いの気持ちを確認しあうことができたときは、こちらもホッとしました。

傲慢なヒーローと健気なヒロイン。シークものにありがちな設定で、読み始めた当初、ヒーローは傲慢な態度を最後まで貫くのかなっと思っていたけど、途中から実は気が強いヒロインの態度にオロオロしたり、嫉妬丸出しの態度をとったりと少し振り回されてる感があり、それはそれで人間味があるところが出てきて面白いと思いました。

主人公レイラが誘拐されそうになったところをあこがれの人ラシッドに助けられる印象的な幕明けで、影のあるラシッドを夢中で追い求めるレイラから見たストーリーが展開されます。想いが通じたと思えたその後、ラシッドに裏切られたと心を閉ざすレイラ。心と体に傷を持つラシッドの訴え、苦しみ、想いを伝える姿が痛々しくて、思い切り同情…。