ハーレクイン・シリーズ
せつない追憶
キャバノー家の真実 Ⅰ
彼はわたしと同じ目をしている。悲しみとは何か知りつくした目を。
まるで中世のお城みたい。壮麗な屋敷の前にたたずみ、刑事コーリーはため息をついた。屋敷の主(あるじ)、ブレント・モンゴメリーに会って最悪のニュースを伝えなければならないのだ。公正な判事として名高いブレントを、彼女はひそかに想っていた。たった一度きりだが、かつて舞踏会で彼と踊った思い出は今もコーリーを甘くせつなくさいなみつづけている。あのとき、ふたりの間にはたしかに魔法が存在した。わたしは運命を感じたけれど、ブレントにその気はなかったのだ。夢のようなひとときが終わるなり、彼は一言もなく去ったのだから。ほろ苦い過去と対峙すべく、コーリーは巨大な邸宅へ足を踏み入れた。
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- 頁数
- 224頁 / 新書判
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- 発行日
- 2006年03月20日
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- 著者
- マリー・フェラレーラ
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- 訳者
- 津田藤子
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- 定価
- 737円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- ISBN
- 4-596-63282-0
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- 書籍番号
- LS-282
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- ミニシリーズ
- キャバノー家の真実
読者レビュー
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栄えあるRITA賞を受賞し、ベストセラーリストに名を連ねる人気作家マリー・フェラレーラの連作『キャバノー家の真実』を三カ月連続刊行。スリリングな事件に絡めて家族の絆があたたかい筆致で描かれた味わい深い作品です。