ハーレクイン・シリーズ
遅れ咲きの幼な妻
美しい、じつに美しい。伯爵は思った。それが我が妻とも気づかずに……。
「叔父さん、ぼくを猿と結婚させるなんてひどいよ!」 紅顔の美少年が口にしたその言葉が、幼き花嫁ベスの心をえぐった。 訳もわからず父に手を引かれて祭壇に連れてこられただけなのに……。 少年の名はドルー。将来、高貴な伯爵家の跡を継ぐ、若き花婿だ。 ベスは泣きながら結婚したくないと訴えたが、結局儀式は行われた。 しかし、まもなくしてドルーは妻を置いて去っていった。 歳月が過ぎ、ベスは外出先でばったり再会した――10年ぶりに、夫と。 誰もが振り返るその美貌は以前と変わらず、すぐに彼とわかった。 だがドルーのほうは、目の前にいるのが妻のベスとはわからぬ様子で、 彼女のうなじに唇を寄せ、囁いた。「美しい妖精さん、きみの名は?」
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- 頁数
- 288頁 / 新書判
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- 発行日
- 2022年01月05日
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- 著者
- ポーラ・マーシャル
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- 訳者
- 辻早苗
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- 定価
- 910円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- ISBN
- 978-4-596-01832-8
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- 書籍番号
- PHS-271 (初版HS-69)
イギリスはレスターに生まれ、ノッティンガムで育つ。勤め 先の資料図書館で同じ司書の夫と出会い、結婚。3人目の子が 学校に入ったのをきっかけに英語の臨時講師として働きはじめ る。その後再び大学で歴史を学び、学士号を取得した。そこで 得た知識を歴史ロマンスの執筆に役立てている。