生きものたちの「かわいくない」世界 動物行動学で読み解く、進化と性淘汰
アレが○センチのゴリラ、浮気天国のツバメ、酔っ払うゾウ、メスを拉致するイルカ、凶悪なペンギン――地球上に生息する動物たちの知られざる生態を通して、「性と社会」を読み解く、イタリア発の話題作!
・ 夫婦円満の象徴、ツバメ。でも生まれたヒナの30%は実は父親が違う。・ イルカのオスのグループは、メスを群れから孤立させて交尾を強要する。
・ ラッコのオスは子連れのメスを探し、子どもを誘拐して「身代金」を要求する。etc.
話題沸騰、生物学者の人気ポッドキャストが書籍化!
本書では、自然ドキュメンタリー番組の制作にかかわる著者が、ヒトを含む動物たちのセクシュアリティについて動物行動学の視点から案内。
異性をめぐるシカやクジャクの戦い、オオコウモリの熱心な性行為、ツバメの自由気ままな浮気、ミツバチの階層社会、ペンギンの凶行、ゾウの弔いなど、世界各地に生息する動物たちの知られざる生態を紹介しながら、生きものたちの世界をテーマ別に解説する。
動物の進化を知れば、ヒトの性の秘密も見えてくる!?
イタリア人生物学者によるユニークで赤裸々、「性と社会」をテーマにした大人向けのガイドブック。
生物が進化を遂げるのは、生存するためだけでなく、繁殖を有利に行うためである。性欲は交尾によって繁殖するすべての生物の行動を導く力だといえる。
40億年のあいだに、性欲はたくさんの生物を生み出し、世界をより複雑に、そして大所帯にしてきた。そのあいだ、オスとメスは静かな戦いを繰り広げてきた――(第1章 オスとメスの戦い」より)
生きものたちの知られざる「進化」と「性淘汰」に迫る話題の書。
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目次
はじめに
ゴリラのアレは○センチ
第1章 オスとメスの戦争
多様性を促す性交
オスチームとメスチームのゲーム
最強を求めるアカシカ
洗練を選ぶクジャク
肉体的ハンディキャップのあるカニ
芸術家肌のフグ
持ち家を競うズグロウロコハタオリ
一生つがいのオウム
フリーライダーのヨーロッパキシダグモ
一夫一婦制と一夫多妻制
第2章 求愛
異種間の交尾を避ける仕組み
メスの攻撃性を和らげる重要性
命がけの「落ち着いておくれ」
モズの恋のメロディ
ダンス自慢のカタカケフクチョウ
ものまね自慢のコトドリ
オリノコワニの王者のメッセージ
イルカの贈りもの
ヒトの求愛
第3章 性行為
オウムのメロドラマ
快感にとりつかれたラット
乱交パーティを開くボノボ
オーラルセックスをするオオコウモリ
騙し討ちをするガーターヘビ
単為生殖のための快感
持つもの、持たざるもの
なぜ鳥類はアレを失ったのか?
性に熱心な哺乳類
なぜヒトの排卵は隠されているのか?
第4章 浮気
浮気天国のツバメ
気の多いヨーロッパカヤクグリ
利益をもたらすアオガラの浮気
ヒトの浮気は何%か?
古代中国皇帝の浮気予防策
「妻の子どもは自分の子ども」
浮気という罪
第5章 家族
子を運命に託すオサガメ
マッチを持たされたタツノオトシゴ
優しいパパのアフリカウシガエル
子煩悩なマネシヤドクガエル
子を有毒にするヤドクガエル
オスを引き連れるアンコウ目
凶暴なシングルマザーのオリノコワニ
家族を作り直すメスのコモドオオトカゲ
メスからオスになるハタ
オスからメスになるイソギンチャク
祖母がリーダーのゾウ
メスが名トレーナーのシャチ
託児所をもつナミチスイコウモリ
ベビーシッターを引き受けるマッコウクジラ
なぜ哺乳類はよい父親ではないのか?
同性同士のつがい
3割が同性カップルのコアホウドリ
ヒトの家族の形
ヒトの家族はいつ誕生したのか?
第6章 社会
ミツバチのコミュニケーション
生殖力を持たない階層
群れのヒエラルキーとクーデター
ブチハイエナの女王
カリスマで統率するリカオン
ベルベットモンキーの献身
贈りものを押しつけるアラビアヤブチメドリ
公平なノドジロオマキザル
リーダーになるためのヒトの行動
ヒトの男性のグループ、女性のグループ
ヒトの視覚コミュニケーション
ヒトの先天的な言語能力
ヒトと動物の絆
第7章 暴力と逸脱
薬物漬けのキツネザル
フグをおもちゃにするイルカ
毒キノコを食べるヒグマ
猛毒のオオヒキガエルを舐めるイヌ
なぜ有毒な薬物を摂取するのか?
お酒をたしなむ動物たち
マルーラの実で酔っ払うゾウ
凶悪なアデリーペンギン
ジャイアントパンダの性欲を刺激する方法
ポルノ映像を好むアカゲザル
体で取引するチンパンジー
メスを拉致するハンドウイルカ
欲求不満のマガモの暴力
子どもを誘拐するラッコ
ヒトの罪の意識
第8章 老い、死、そして愛
チンパンジーの葬儀
死なない動物
100年以上生きたピンタゾウガメ
パートナーを失ったインコ
喪に服したシャチ
息子を亡くしたゴリラ
仲間を弔うゾウの群れ
死者を埋葬するヒト
おわりに